今月発売された「文學界」2020年11月号(↓)。表紙は柳智之作、ビリー・ホリデイ。
純文学の雑誌なので、私とは無縁---そー思っていたモンで、特集が【JAZZ*文学】だったとは、意外でした(知りませんでした)。
そもそもこのご時世に、純文学系雑誌って、まだまだ月刊誌として続いているんですね(とはいえ、地元の書店には既に店頭にはなかったので、アマゾンで「ポチッ!」となをして購入)。
5大雑誌(↓)。
そもそもこのご時世に、純文学系雑誌って、まだまだ月刊誌として続いているんですね(とはいえ、地元の書店には既に店頭にはなかったので、アマゾンで「ポチッ!」となをして購入)。
5大雑誌(↓)。
群像(講談社)1946年創刊 毎月7日 6750部
新潮(新潮社)1904年 毎月7日9136部
すばる(集英社)1970年創刊 毎月6日6667部
文學界(文藝春秋)1933年10月創刊 毎月7日 1万部
文藝(河出書房新社)1933年11月創刊 季刊1,4,7,10月の7日公称2万部
---こちらから引用。
そーいえば、以前、福武書店(現ベネッセ)が「海燕」という純文学系雑誌を出していましたが、もう、無いんですね(1996年に廃刊)。
閑話休題。
巻頭は村上春樹氏へのロング・インタビュー。昨年、彼がスタン・ゲッツの評伝を翻訳したことを中心に、村井康司さんが聞いています。
155ページまでの特集【JAZZ*文学】の中に、山中千尋さんと岸政彦氏(社会学者で自称アマチュア・ベーシスト)の対談があって、そのあとになんと、山中さんの短編小説が10ページほど掲載されているのです。
彼女のエッセイは「JAZZ JAPAN」をはじめ、彼女の地元紙「上毛新聞」等に掲載されていて、それが単行本になっていることは知っていましたが、短編とは言え「小説」を書いたのは、初めてらしい。
主人公・美咲は、東京から北に向かう電車で1時間半ほどの関東の地方都市出身で、高校からは音楽大学付属の高校へ入学し、ピアノを専攻。---この「設定」って、実際に、山中さんご自身の履歴ですぜ。
彼女には小中学校での幼なじみ、啓太がいて、彼は現在ジャズ・トランペッターで、プロとして売り出し中。
冒頭で、アドリブができない美咲と、敬太との会話(↓)。
----------引用開始
---こちらから引用。
そーいえば、以前、福武書店(現ベネッセ)が「海燕」という純文学系雑誌を出していましたが、もう、無いんですね(1996年に廃刊)。
閑話休題。
巻頭は村上春樹氏へのロング・インタビュー。昨年、彼がスタン・ゲッツの評伝を翻訳したことを中心に、村井康司さんが聞いています。
155ページまでの特集【JAZZ*文学】の中に、山中千尋さんと岸政彦氏(社会学者で自称アマチュア・ベーシスト)の対談があって、そのあとになんと、山中さんの短編小説が10ページほど掲載されているのです。
彼女のエッセイは「JAZZ JAPAN」をはじめ、彼女の地元紙「上毛新聞」等に掲載されていて、それが単行本になっていることは知っていましたが、短編とは言え「小説」を書いたのは、初めてらしい。
主人公・美咲は、東京から北に向かう電車で1時間半ほどの関東の地方都市出身で、高校からは音楽大学付属の高校へ入学し、ピアノを専攻。---この「設定」って、実際に、山中さんご自身の履歴ですぜ。
彼女には小中学校での幼なじみ、啓太がいて、彼は現在ジャズ・トランペッターで、プロとして売り出し中。
冒頭で、アドリブができない美咲と、敬太との会話(↓)。
----------引用開始
「音楽やってるのに、なんでアドリブできないの?」
また敬太の挑発がはじまった。
「じゃあ、アドリブはしているのに、なんで音楽になってないの?」
わたしは言い返す。
「アドリブができないからミュージシャンじゃない、なんて考え方は、どこかの人種差別主義者と一緒だよ。音楽か音楽じゃないかの基準は、そこだけじゃないと思う」
「俺、差別してないよ。区別しているだけだよ」
敬太はこちらを見てニヤリと笑う。
「他人を受け入れられないような悪意のある区別を、差別って言うんです。
あんたがやってることはそれ。
口惜しかったらハイドンのトランペットコンチェルトでも譜面どおりにきちんと吹いてみたらいいよ」
「俺、アドリブだったら、ハイドンだって吹けるかもしれない」
「いい?オーディエンスはハイドンのあの見事な旋律を期待しているんであって、どこかの知らないトランペッターの、何を吹いているのかさっぱりわからないアドリブなんて聴きたくないよ。
だいたい、ハイドンと自分との音楽的な力量の差が分かってないっていうのが、超悲劇的」
----------引用終了
この会話の対比として終わりの方で、美咲がアドリブの本質をえぐるような次の発言をして、ストーリーは終わるのでした(↓)。
----------引用開始
----------引用終了
この会話の対比として終わりの方で、美咲がアドリブの本質をえぐるような次の発言をして、ストーリーは終わるのでした(↓)。
----------引用開始
それに……アドリブとか言っているけれど、まともに音を出したり、心に残るメロディーを弾く前に、あんたたちのやってることは、ただの計算じゃない。
このコードには何のスケールが合う、合わない。
音楽的な意味がゼロの、ただの複雑な方程式を解こうとしているだけだよ。
そういうマトリックスに興奮して自己陶酔しているだけ。
こんなに複雑なコード進行を、いかにうまく乗り越えられるかっていうゲームにしか脳が反応しないんだね。
音楽を通して他の人とつながっていくことなんて全然関係なくて、夢中になっているのは計算じゃないの。
これじゃいつまでも他の誰かに問題出してもらえないと自分を証明できないじゃない。
頭が本当にいいのなら、自分で問いを立てて、自分で答えてよ。
本当に音楽がしたいなら、スイングとか何とか、暗号みたいなことばかり言ったり、吹いたりするんじゃなくて、わたしの心をじかにつかんで、揺さぶってみてよ」
----------引用終了
現在、演奏活動をしながら、日本とアメリカの母校で後進の指導に当たっている彼女だからこそ、伝えたいメッセージであるように思えてくるのです。
私は楽器の演奏ができないので、ミュージシャンの頭の中でどんな化学反応が生じているのか、想像するしかありません。
ただ、上の美咲の指摘で、真に偉大なジャズ・ミュージシャンたちが演奏しているその音楽には、何かが「宿っている」ように思えてくるのでした。
あっ、そーそー、タイトルを忘れていました。
「フェイジング・ユー」です(キース・ジャレットのソロ・ピアノ・アルバムと同名、名盤なり)。“FACING YOU”、あなたと向き合って---いろんな想像が駆け巡るのでした。
---
今日の南アルプス(↓11:00撮影)。
今日のストームグラス(↓)。
----------引用終了
現在、演奏活動をしながら、日本とアメリカの母校で後進の指導に当たっている彼女だからこそ、伝えたいメッセージであるように思えてくるのです。
私は楽器の演奏ができないので、ミュージシャンの頭の中でどんな化学反応が生じているのか、想像するしかありません。
ただ、上の美咲の指摘で、真に偉大なジャズ・ミュージシャンたちが演奏しているその音楽には、何かが「宿っている」ように思えてくるのでした。
あっ、そーそー、タイトルを忘れていました。
「フェイジング・ユー」です(キース・ジャレットのソロ・ピアノ・アルバムと同名、名盤なり)。“FACING YOU”、あなたと向き合って---いろんな想像が駆け巡るのでした。
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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。
今日のストームグラス(↓)。