先日、以前勤務していた職場でお世話になった青木先生がおいでになりました。
共著(分担執筆)ではなく、自著が上梓されたとのこと(↓)。
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おめでとうございます(当店にも献本していただきました。ありがとうございます)。
長野県立歴史館編による三部作(↓)では、名前をお見うけしておりましたが、遂に、一冊自著による出版がかなったわけですね。
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内容に目をやると、「あっ、これは」と、気づきました。
そう、第一編は南信州新聞に連載していた「飯田城その日その日」。
新聞紙上での連載なので(=万人に向けて)、兎に角読みやすい。
出版社の紹介文(↓)。

飯田城主堀家の殿様とその家臣たちはどのような 日常生活を送っていたのか。
食事・外出・参勤交代・ 江戸の生活などをテーマに古文献を駆使して描き出す知られざる江戸時代の武士たちの生活。
さらに水戸浪士の飯田通行をめぐるこれまでの解釈を 根底から問い直した注目すべき論文も掲載。

ふと、
この著書が15年以上前に出ていたら?---あの『武士の家計簿』より前だったら?などと考えてしまったのです。
『武士の家計簿』は映画化もされ、著者の磯田道史さんはメディアにもたくさん登場し、史学の世界では、いまでも「時の人」。
それはそーと、
「飯田藩の幕府献上品」という節に、氷餅が登場します。
ああ、懐かしや、氷餅。
以前に購入してあったことを思い出しました(↓)。
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そう、諏訪では「今も」作られているのです(氷餅を献上していた藩は、寛政期で会津、白河、小諸、高島、飯田藩等10藩だったそう)。
出典元の『動向書上帳(つとめむきかきあげちょう)』での記述を中心に、
飯田藩に「御氷餅方」という役所があったことを記し、今に置き換えれば、飯田市役所内に「氷餅課」があるということ---と続けます。
このわかりやすさ、著者のなせる技でしょう(他にも「今」感覚でわかる解説が、アチコチに登場します)。
第二編は伊那谷の国学運動が、木曽谷や東濃地方と人的ネットワーク化していたことを史料をもとに展開し、「水戸浪士通行事件」を検証しています。
史料を前に、

厳密な意味では歴史は繰り返さない。
死者は戻ってはこない。
歴史の狭間に潰え去っていったたくさんの<未完の夢>は、掘り起こそうとする者の心の中でだけ、<成就した夢>の像を結ぶ。(p328)

こーゆー姿勢で臨むからこそ、著者の前には当地の豊穣な歴史像がみえてくるのでしょう。
(ただ、後進が育っていないことも危惧されておられます。)

例の書棚に置いておきます。

【追記2024.10.28】
今日、平安堂座光寺店へ行ったら、この書籍が平積みされており、売り上げベストテンの第9位に堂々のランクイン。おめでとうございます。

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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。
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今日のストームグラス(↓)。
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