タイトルだけ見ると、よくありがちな「生活上手」のためのノウハウ本のように思われます。

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が、「帯」には

東大卒! 20年間無職! 一日の食費は500円!

と書かれています。

カバーに書いてあるプロフィールによれば、著者山崎寿人(ひさひと)氏は

1960(昭和35)年大阪府生まれ。

東京大学経済学部を卒業後、大手酒類メーカーに入社し、広報マンとして活躍するが、30歳で退職する。

その後日本新党の立ち上げに係わり、小説を書くことを志すも、料理に目覚めてからは自宅で過ごすことが無上の楽しみとなり、定職に就くことなく20年経つ。

とあります。

「節約生活術」と銘打っている訳なので、

「安い食材で有名店の味を再現!」

とか、

「インターネットで小遣い稼ぎ!」

の術も載ってはいますが、この本の中でいちばん著者が言いたかったことは、このことでしょう(↓)。

-----------------少し引用が長くなります。

(私は)今の世に蔓延している「勝ち組か負け組か」「善(正義)か悪か」「成功か失敗か」「正しいか間違いか」「(自分はあいつより)上か下か」というように、世界を二色に塗り分け、それだけで人間の価値を評価してしまうような二元論的世界観とは、とうの昔におさらばしてしまってもいるので、「何かをしてなんぼ」「何かになってなんぼ」という観念や、二元論的世界観の上に立った「かくあるべき」「ねばならぬ」「意味があるかないか」という発想で自分の考え方や行動に価値判断を下し、己れの人生を縛り上げることは、もうやめてしまったというわけだ。

だから「仕事をしていない=何もすることがない=ヒマ=退屈」や、「何もしない=怠惰=悪」「毎日家に独りでいる=引き籠もり=心の病」といった奇妙な等式を自分に当てはめて色々言われても、出るのはため息ばかり。

(略)

老子の一節

名与身孰親

身与貨孰多

得与亡孰病

是故甚愛必大費

多蔵必厚亡

知足不辱

知止不殆

可以長久

体と金のどちらが大切か。

何かを得ることと失うことのどちらが困るか。

金品にこだわれば浪費をまねき、あまりに多くを持てば失うことにつながる。

ほどほどの満足があれば辱めを受けることなく、ほどほどのところを知れば長く安らかでいられる。

---そんな意味であろう。

とにもかくにも、まあひと一人が生きてゆくことくらい、どうとでもなるでしょ。

ならぬならその時は仕方がない、その現実を受け入れて、今度はそれをまた楽しもうとするだけのことだ。

人間たるもの、怒りや憎しみの中で生きるより、心豊かに、幸福に、喜びで人生を満たすことを選びたいものだ。

ところが町を歩けば、眉をしかめた人だらけ(そりゃ、悩み悲しみは人生のスパイスではありますけどね)。

そこで考えたのは、もしも好きなこと、楽しいこと、心安らかになることばかりで日々の生活を満たすことができれば、それが積み重なった人生は、どんなものになることか。

ならばたった一度の人生、是非ともそれを試してみよう、と。

-----------------引用終了

日本の男性の世代別自殺率は、50歳代(~64歳まで)が一番高いという(因みに他国ではだいたい75歳以上が多くなる傾向にある)。

その世代にとって「生きにくい」時代なのかも知れませんね、今は。

ならば、山崎氏のように「実際は」できないけれど、その「考え方」を自分に(多少アレンジして)応用することは、可能でしょう。

頭の中のスイッチを切り替えてみるだけのことですから。

すると見えてくることがあるかも知れません(推量だけど)。

-----------------

今日の南アルプス(↓11:00撮影)。珈琲を煎れている場合じゃないくらいに、いい天気です。

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