IT関連の世界はめまぐるしいスピードで登場人物が入れ替わっていきます。

そのため堀江元社長は既に「過去の人」というイメージを抱いている人が多いかもしれません。

ライブドアが近鉄バファローズを買収しようとしたり、ニッポン放送株を購入することでフジテレビをコントロールしようとしたあの頃、は~るか昔のことのように思えます。

当時、ライブドア株はじゃんじゃん分割されて、ニートやフリーターでも多少は購入できる「手の届く株券」だった頃、彼は「そーゆー系」の人たちのヒーローでした。

どうして彼が支持されていたのか、内田樹氏の分析がオモシロイ。

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ライブドアの堀江貴文前社長は一時期ニートを合む若年層に圧倒的な人気を博しました。

どうして、無業者である若者たちが、天と地ほど生活水準の違うIT長者に共感の拍手を送るのか。

この不可解なポピュラリティの理由として、メディアは「古い価値観の破壊者」に対する共感という説明をしばしば行いました。

でも、これはいささか言葉が足りないのではないかと思います。

彼が体現していたのは、「最も少ない労働で、最も多くの利益を出すこと」、「最も少ない努力で、最も多い成果を得ること」を最高善とする思想です。

彼は金が手に入ると六本木を見下ろす家を買い、ブランドものの服を身につけ、自家用ジェット機で旅行し、野球チームとテレビ局を買おうとし、最後は宇宙旅行に行きたいと言っていました。

これらはどれも「六歳の子どもでもそれをほしがる理由が理解できるような欲望」の対象です。

ライブドア事件でいちばん心理的に興味深いのはこのことではなかったかと私は思います。

重要なのは、成功するかどうかよりも、どのような価値観、どのような労働倫理に基づいて働いているかであり、その点において一致すれば、無業者も富豪も、「賢い生き方をしている人間」という同一カテゴリーに算入されることになります。

「賢い生き方をしている」という幻想的な自己規定が得られるならば、年収がいくらであるとか、社会的評価がどうかということには副次的な重要性しかない。

それが社会的弱者がIT長者に送った拍手の意味だと私は思います。

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彼のライブドアは現在、NHN Japan(株)に吸収されています(昨日、ちょこっと触れたLINEを運営している会社)。

彼のことですから、「第2ラウンドの事業展開」を収監されていた塀の中で構想していたことでしょう。

でも、会見の中で彼の口から「社会に貢献したい」なんていう言葉が出てきたのが、意外。

そーゆーキャラじゃないでしょ、堀江元社長は(本当にそう思っているのかなぁ??? だとしたら「こっち側」の人間として頑張って欲しいぞ)。


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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。今日も終日曇り、時折雨がパラパラ。

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