『この国はどこで間違えたのか-沖縄と福島から見えた日本』内田樹・小熊英二・開沼博・佐藤栄佐久・佐野眞一・清水修二・広井亮典・辺見庸(聞き手・渡辺豪)著 徳間書店(2012)
沖縄タイムズに連載されていたインタビュー記事をまとめた本です(しかし、インタビューに登場しているメンバーの豪華さ、こんなにも揃えられるもんなんですね)。
その中で、聞き手の渡辺豪氏が広井亮典さんに聞いている部分の一節(↓)、
-----------------以下引用
今、地方都市がなぜ空洞化しているかというと、グローバル競争に立ち遅れるなということでコストの削減競争にはまっているからです。
しかし、低価格で競争しようとしても途上国に太刀打ちできるはずがないんですね。
グローバル化に立ち遅れるなという声に呼応することが、皮肉にも地域経済を衰退させてしまっている。
だから、地域で循環する経済をつくっていく方が地域経済は強くなる、と発想を変えるべきです。
標準化できる工業技術みたいなものはどんどん途上国へ移っています。
むしろその土地固有のもの、農業や伝統的な工芸品とか職人技的なものとか、土地の個性をもった標準化できない技術がこれから残っていく状況だと思います。
まさに、TPP的な世界観とは逆の方向の地域社会づくりが必要になってきます。
原発も基地も、「疲弊した地方が国策の犠牲になる構図」がよく指摘されますが、一方で地元の側も、地域の活性化や存続のためには国策に依拠せざるを得ない現実も浮かんでいます。
私は活性化を否定するつもりはないですけど、活性化というと、少なくともグローバル競争に遅れるなとか、地域経済を大きくすればいいというようなことでは全くない、と考えています。
言葉としていえば「コミュニティー経済」というのが重要だと思っていて、一言でいえば、人、モノ、カネが地域の中で循環する経済、地域内の経済循環ですね。
そういう地域をつくっていくことが重要で、そうでないと今の社会の構造自体が、先進国と途上国の関係のようなかたちで大都市圏と地方の関係が結ばれてしまう。
つまり、地域の自立とは何か、ということです。
-----------------引用終了
たぶん、地方の危機を感じている各地のリーダーたちは
「そんなこと、もうとっくにわかっておるわい!!」
ということだとは思います。
でも、じゃあ、どこから手を付けたら地元で「コミュニティー経済」を作り上げていけるのか、その糸口やノウハウが見つからないんです。
他所でやっていることの真似をしても、地域のバックボーンが違うのだから、そうそううまくいくはずはありません。
そんななか、「地産地消」だけではなく「地産都消」を掲げて、そのための仕組み作りをしている会社があります。
そう、信州若者1000人会議の黒子だった会社です。
「仕組み」って作るのはタイヘンだけど(そのぶん、やりがいがあります)、一度完成度の高いものや利用しやすいものを作ってしまえば、二番手以下の追従を振り切ることができます(たとえば、LINEの独走に対してカカオトークとかcommが苦戦しているように)。
地元カンパニーの児玉光史さん、頑張ってくださいね(その志を語っているインタビューは、こちら)。
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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。秋空、でも空気は蒸してます。
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