格差社会や「下流」ビジネスに関心があったものの、この本はスルーしてきていました。
が、
問題提起の名著と言っていい新書です。

感覚的に「格差」や「貧困」を語るのではなく、ちゃんとしたデータの裏付けから導かれる現状認識。
-----------------以下引用
「総中流神話」は、たとえ子どもの現在の生活が多少充足されていなくても、他の子どもたちも似たり寄ったりであろうという錯覚を起こさせる。
「機会の平等神話」は、どんな家庭状況の子でも、がんばってちゃんと勉強していれば、たとえ、公立の学校だけでも、将来的な教育の達成度や職業的な成功を得る機会は同じように与えられていると信じさせる。
「貧しくても幸せな家庭神話」は、物的に恵まれなくても子どもは幸せに育つと説得する。
もちろん、そうであるべきであるし、そうであると信じたい。
しかし、第1章でみてきたように、実際には、子ども期の生活の充足と、学力、健康、成長、生活の質、そして将来のさまざまな達成(学歴、就労、所得、結婚など)には密接な関係がある。
その関係について、日本人の多くは、鈍感なのではないだろうか。
これが、「子どもの貧困」が長い間社会的問題とされず、国の対応も迫られてこなかった理由なのではないだろうか。
-----------------引用終了
子どもの貧困対策の窓口って、厚生労働省? 文部科学省? はたまた地方自治体の窓口? いやいや、まさかとは思うけど少子化担当大臣ですか?
『子どもの貧困』 阿部彩著(2008) 岩波新書
その後の最新データをもとに、著者の阿部氏はNHKの「視点・論点」で現状を解説しています(ここを読むだけで本のダイジェストになっています)。
こちら。
子どもへの教育は「親の責任」という感覚が一般的な今の日本。
もうそれでは、たちいかなくなってきている現状を、データは示しています。
「子どもに対する給付は、日本の未来への投資」
という指摘は、もう待ったなし!! なのです。
ここで突然、話は変わるのですけど、もうじき(来週の土日)大学入試センター試験ですね。
お隣、韓国の話。
韓国の大学進学率は日本より遙かに高くて80%オーバー(日本は50%ほど)。
日本のセンター試験のような統一試験が実施される当日、試験会場近くの駅前には白バイやパトカーが待機している。
というのも、
遅刻しそうな受験生を会場まで「緊急時扱い」で送り届けてくれるのだとか。
日本では考えられない光景です。
この状況を私は次のように考えてみました。
「この受験生が、もし将来ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスのようになるかもしれない!と思ったら、その機会を国を挙げて確実に用意してあげなくてはならない。」
韓国(政府)は、きっとそう考えているに違いない---な~んてね。
だったら、教育に関する家計負担費をもっと低減するような施策にすればいいのに・・・・・・、とも思いますが(韓国は日本と同様で教育費の家計負担率がOECDの中でも高い国なのです)。
日本では「遅刻」は自己責任。
「貧困」もですか?
その先にあるのは・・・・、
財政難を理由に、子どもへの給付を渋り、子どもの貧困を放置することは、日本社会をゆっくり自滅に向かわせることになるのです。
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実は、『子どもの貧困II――解決策を考える』 阿部彩著(2014)岩波新書 が1月22日に刊行予定です。
アマゾンに載っていた紹介文(↓)。
「2013年、「子どもの貧困対策法」が成立した。教育、医療、保育、生活。政策課題が多々ある中で、プライオリティは何か? 現金給付、現物給付、それぞれの利点と欠点は? 国内外の貧困研究のこれまでの知見と洞察を総動員して、政策の優先順位と子どもの貧困指標の考え方を整理する。社会政策論入門としても最適な一冊。」
もちろん、私は既に「予約注文」のボタンを「ポチッ」とな、しました。
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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。今朝の飯田の最低気温は-6.4℃(軽井沢は-11.5℃。(@_@;))。

今日のストームグラス(↓)。

昨日もよく晴れわたり、南アルプスの夕焼けも綺麗でした。
赤石岳と荒川岳(↓16:45撮影)。

駐車場からちょっと登って、塩見岳・北岳・仙丈ヶ岳方面(↓16:46撮影)。

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