今だからこそわかること、歳をとってくるとそーゆーことが多くなります。
あの当時は「渦中」だったので見えなかったものが、今ならわかる---自分史的観点から振り返ってみると、「そーゆーこと」だったのね。
例えば、『下に見る人』 酒井順子著(2012) 角川書店刊
酒井氏は男女雇用機会均等法3期生(!?)。で、博報堂へ総合職として入社。
時は(たぶん)1989年。バブル入社組のど真ん中。
彼女の目から見えた「線」とは・・・・・・・。
-----------------以下引用(長いです)
短大を出て就職する人というのは、いわゆる事務職であり、若いうちに数年働いたら職場結婚をして寿退職、というのが一般的パターン。
短卒者は、事務職要員であると同時に、花嫁要員であったわけです。
しかしその後、さらに時代は変わりました。
一九八六年に男女雇用機会均等法が施行され、女性総合職という人種が、登場するようになったのです。
しかし女性が全て総合職というわけではもちろんなく、総合職として働くか、一般職(事務職)として働くか、自らが選択することとなった。
総合職とはすなわち、「男並みの労働」をすることを意味します。
仕事の責任も、賃金も転勤等の条件も一緒ですよ、というもの。
対して一般職は、「そこまで仕事に気合いを入れるつもりはありません」という人向け。
結婚もしくは出産後は仕事を辞めます、という人はこちらの道を選ぶこととなります。
私が就職活動を始めたのは、この男女雇用機会均等法が施行後三年目の就職シーズンでした。
この法律の内容をきちんと理解はしていなかったものの、「男並みコース」か「女の幸せコース」、どちらかを選ぶ分かれ道が目の前にあることだけは、漠然と感じていた。
そして私は、結果的に言えば「男並みコース」を選択したのでした。
「せっかく大学まで出してもらって、腰掛け程度に働くのでは親にも申し訳なかろうよ」などとも思ったのですが、最も大きな理由としては、「女の幸せコース」の方が「下」に思えたから、なのだと思います。
今まで、男女の差など一応は無いものとして暮らしてきた。
だというのにいざ就職となると、女が急に半人前視されるとはどういうことだ。
男のアシスタントみたいな仕事につくなんて、ダサいではないか、と。
私自身も、女より男の方が上だと思っていたからこそ、女の幸せコースを下に見たのでしょう。
女の幸せコース側の人は、業務よりも、女を売ることを優先するという印象も、私は持っていました。
女の幸せコースの仕事とは、やりがいを見つけるとか出世するとか良い賃金をもらうための仕事ではなく、良い婿を見つけるための仕事。
そんなコースに進むなんてねえ……と。
しかしその視線には、多分に嫉妬が交じっていました。
(中略)
おそらくは、女の幸せコースにいる人たちも、男並みコースに並んでいる私達のことを、下に見ていたのだと思います。
「可哀想にあの人達、モテないから男みたいに働くしかないのね。
いくらバリバリ働いたって、婚期が遅れるだけなのにねえ。
親は何のために大学に行かせたのか、わかってるのかしら?良い結婚をするためじゃないの」と。
今になってみると、女の幸せコース側の人達は、ズルをしていたわけでは全くないことがわかります。
彼女達は、自分の適性というものを、早くから知っていた人々。
男に伍してぼろぼろとなって働くよりも、条件のよい男性と早くつがいになることが幸せへの近道だということを、早くから理解していたのです。
(中略)
一方でこの法律は、女性の中に見えない線を引くことにもなりました。
女の幸せコースに並ぶ人というのはつまり、「私、つがいを作ることに必死になります!」と宣言している人達。
「しばらくはつがい作りのことは忘れ、必死に働きます!」
という宣言をせざるを得ない男並みコースの人とは、どうしても距離ができてしまう。
そして時が経つと、男並みコースの人は、“条件の良い独身男性”という限られた資源を、女の幸せコースの人達に不当にかっさらわれたような気がしてきてしまうのです。
…と、そんな未来が待ち受けていることはつゆ知らず、私はとある会社に総合職として就職しました。
その会社には一般職の女性もいたわけですが、私は一般職女性の前において、どうにも居心地の悪さを感じたものです。
-----------------引用終了
私は会社に所属していたことがないので、そーゆー組織の中での「あれこれ」には関心がなく、これまでず~~っと過ごしてきました(「組織」には、いました。教員だったので。ただ、総合職・一般職という「線」引きには無関心だったなぁ、そーゆー制度がなかったし、「学内政治」にも距離を取っていたし・・・・)。
今はさらに総合職と一般職の間にエリア職(転居を伴わない地域限定総合職)があったり、同じ職場に「ハケン」の方がいたり、アルバイトの人もいたりと立場だけダイバーシティ。
同一業務同一賃金になっていないニッポンの職場では、この立場によって「線(賃金)」が引かれています。
だから、
次のような悲喜劇が4月当初にアチコチの職場で見受けられるらしい(ホント!?)
新人の総合職より、ベテランのバイト(のほうが使える)!
毎年繰り返される光景とはいえ、「なんだかなぁ(阿藤海ふう)」
あっち側の人による「分断統治」を見ているようです(古代ローマの時代からイギリスの植民地統治まで、やっていることは「今」の職場も変わりなし!?)。
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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。こ~んなに晴れてますが、今朝の飯田の最低気温は-1.5℃(暖こうございました)。
今朝は三日月と金星がランデブー(↓6:11撮影)。
8分後(6:19)には、もう金星は微かな光のみ(↓)。
今日のストームグラス(↓)。よく見ると手前から三段構え。
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