以前読んだ荻上チキ氏の『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』(2012) 幻冬舎新書
以下引用します(一部、敢えて「彼女」と変換)。
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彼女は比喩的な意味ではなく、見事な統計学者でした。
莫大な資産を持つ家庭で豊かな教育を受けた彼女は、多くの知識人と交流する中で、当時最高峰の統計学者であり、現在でも「近代統計学の父」と評価されているアドルフ・ケトレー(1796-1874)に師事していました。
クリミア戦争当時の彼女は、負傷した兵士たちが、どういった理由で亡くなってしまうのかというデータを膨大に集め、綿密な計算を行った。
すると、実際の怪我によって死に至る人よりも、負傷箇所が膿み、伝染病にかかって亡くなった人のほうがはるかに多いということに気がついた。
だからこそ彼女は、「衛生環境を改善すれば、疫学的に死亡者率を下げることができる」と考え、シーツや包帯、水などを新しいものに替えるという衛生管理を現場のナースに指示し、徹底させた。
そして統計データなどをもとにプレゼンを行い、政府に対して援助を呼びかけるなどもした。
つまり彼女は、疫学的・統計学的思考に基づき、科学的に問題解決へと取り組んだ人だったのです。
また彼女は、国際統計会議に出席した折は、比較可能な統計をとることが看護の発展に寄与すると訴え、世界で統一した標準様式を共有することの重要性をも訴えます。
そんな彼女には、イギリスの王位統計協会における史上初の女性会員となり、さらには彼女の資料が、アメリカ陸軍でも重要視されたこともあり、アメリカの統計協会の名誉会員になったというエピソードもあります。
その上、衛生統計の重要さを訴える一方で、看護学を伝授するために養成学校を築くなどの活動も熱心に行っていました。
彼女は優秀な看護婦であるが、同時に優れた統計学者であり、プラグマティックな社会起業家でもあったのです。
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もう既におわかりのように、「彼女」とはナイチンゲールのこと。
「近代看護教育の母」「クリミアの天使」と称されていることは知っていても、彼女が「優れた統計学者であり、プラグマティックな社会起業家」であったことまでは、知りませんでした。
荻上氏は彼女の例をモデルとして紹介しながら、今の日本でできそうな「社会起業の考え方」を提案します。
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安定成長下での市民運動のイメージといえば、中央に対して異議申し立てをするというものでした。
しかしこれからは、端的にいえば、「国はノロノロしか変わらない。
ならば自分たちでモデルを作って実行し、結果が出たら国にもそれをやらせる」という発想が重要になってくるようです。
それは、従来のロビイストのイメージともまた違い、「自分でやり、後ろ姿を見せ、そして、その後ろを政治家についてこさせる」くらいのスタンスのものだと思います。
いうなれば、「クレクレ型」ではなく「コレヤレ型」、自らロールモデルを創造していく活動だといえそうです。
「予算に限界がある」「できる法整備にも限界がある」「期限もついている」ということを前提とした上で、いかにプラグマティックに意味のある形で、理想へと一歩でも歩みを進めていくかが重要です。
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だから本書のタイトルにも、サブタイトルが、
【絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想】
と付いているわけです。
自分は安全なところにいて、口だけの評論家はもういりません、退場です。
この新書は自らが当事者として社会を変えていく---そのヒント集。
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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。快晴なり。今日の飯田の予想最高気温は21℃。

今日のストームグラス(↓)。こんなに天気がいいのに、これですから。

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