先日、お客様との話の流れで話題になったこと。

地域の顔役・エスタブリッシュメント側の皆さんって、未だに「いい高校→いい大学→良い会社(大企業)」というライフルートを辿ることが幸せだと思っているフシがある---という話。

60歳代以上の皆さんとの話の中で、だそうです(それ以上の世代かも)。

彼らは「努力をすれば報われた時代」を生きた世代です。

だから、その成功体験に基づいて後続世代を見るフィルターができあがっています。

『新世代努力論』 イケダハヤト著(2014) 朝日新聞出版

の指摘が、わかりやすいので引用しますね。

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こちらのグラフは1955年から2012年にかけての、一人当たりのGDP(名目・実質)を経営コンサルタントの秋月ていぞう氏がプロットしたものです。

見事に、「努力すれば報われる」という考え方にまつわる世代間のギャップを示すグラフとなっているかと思います。

時代をさかのぼればさかのぼるほど、人生における「成長感覚」に違いが出ていることがわかります。

一人当たりの実質GDPが50万円だった、1955年に生まれた人にとって、世界は「刻一刻と成長している」ものだったことでしょう。

彼らが20歳を迎える1975年には一人当たりの実質GDPは約200万円。

40歳を迎える1995年には350万円を超えています。

こういう時代においては、経済的に「努力すれば報われる」確率は高かったはずです。

一方、それから15年後に生まれた1970年生まれにとっては、成長は格段に実感しにくいものとなっています。

30歳を迎えた2000年頃には経済成長は低迷し、「黙っていれば定年まで勤められる」と思い込んでいた人々がハシゴを外された格好となつています。

ぼくが生まれた1986年前後に至っては、物心付いたときには経済成長は停滞しています。

不況、リストラ、非正規雇用、ブラツク企業、うつ病、自殺、貧困…-報道で聞こえてくるのは、暗いニュースばかり。

ぼくらは「景気が良かった日本」を知らない世代です。

時代が進むにつれて、少なくとも経済的な「上り坂」感覚は終わりを迎えつつあることがわかります。

「努力すれば報われる」という言葉が「努力を続ければ経済的に成功し、それなりに裕福な人生を送ることができる」というニュアンスを含むものだとしたら、「努力すれば報われる」の持つ意味合いは時代とともに変遷していると考えられます。

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高度経済成長を支えたと自負している世代にとって、後続世代、とくに若年層は「不甲斐なく見える」のでしょう。

でも、先行世代がいい思いを実感できたのはそもそも彼らの生きた時代が、「いい時代」だったから。

そこでは本人の努力もあったのでしょうが、「背景」も味方したということも忘れてはいけないと思います。

じゃぁ、若い世代はどうすればいいんだろうか?

イケダ氏は具体的に次のようなアドバイスを列挙しています。

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これからの努カ論

・ぼくらは死ぬまで働く可能性が高い。我慢すれば定年退職が待っているわけでも、年金生活が待っているわけでもない。

・グローバリゼーションやロボットの浸透、経済の縮小によって、個人の努力が報われる可能性は減少している。

・一方で、努力しなければ成功することはない。だが、少なくとも経済的に成功する確率は下がっているし、今後も下がっていくだろう。

・そもそも、あなたにとっての成功とは何か、幸せとは何かについて、オリジナルな答えを見いだす必要がある。

・その上で、その成功や幸せを達成するために求められる、具体的な努力の方向性を導きだす必要がある。

・何かの犠牲を割いて努力をするのは、健全ではない。その努力をすればするほど、あなたの性格は歪んでいくだろう。

・犠牲を強いる努力ではなく、純粋に没頭できることをやるべき。没頭し、人生を楽しんだ結果として、成功が待っている可能性がある。

・適切に努力していくためには、持って生まれた才能(=認知特性)について理解することが大切。

・世界はそもそも意味ではない。自分の努力には何らかの意味があるという考えを捨てよう。

「努力すれば報われる」という考え方を捨てましょう。

それはあなたの周りにいる人と、あなた自身を苦しめる呪詛です。

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地方のエスタブリッシュメント側の皆さんは、今ある地位が本人の努力というよりも、その親世代・祖父世代が築いた「果実」を当たり前のように食べながら、その恵まれたポジションに立っていることが多い(たぶん、ね)。

そもそも彼らはスタート地点から恵まれた環境の中で育ち(多少は本人の努力もあるでしょうが)、成功した今ある地位に対して、「己が恵まれて生きてきたから今がある」ことに自覚的でない---という鈍感さというか、無知を構造的に意識化してしまっています。

(あっ、これイケダ氏もいっていることです。)

そーゆー人たちの頭の中はこれからの地域の将来も、未だにイケイケドンドン時代なのです。


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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。

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今日のストームグラス(↓)。今のところ、安定しています。

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