先月、腕時計の針が2秒間隔で進むようになったので、お店に持っていって「電池交換+メインテナンス」をしてもらうことにしました(メーカー送りとなるのです)。

それから約半月。

「できましたよぉ~(というなれなれしさではなく、丁寧なお言葉でご連絡をいただきました)。」

とのこと。

お店の人から、

「これは、どれくらい前に購入されたものですか?」

と聞かれ、

「たぶん、もう20年くらいかなぁ???」

と答えると、

「これはメーカー自らが、『世代を超えて受け継がれる時計』として位置づけているので、1980年代以降のものであれば、パーツ類も完備されています。」

「へぇ、そーなんですか。以前、ここの工房を見学させてもらうことがあってから、ファンなんです。」

---ということで、ただの電池交換だけでは終わらない、トータル・メインテナンスのシステムすべてを「技術の継承」として考えているんですね、SEIKOさんは。

ただ、心配なこともある。

以前、大前研一さんの本を読んだときのこと。

-------------以下引用(長いですぜ。強調はBLOG主。)

セイコーは、時計は精度とコストの勝負だと考えたが、精度技術は世界中に安く使われ、コストは中国に支配されるようになった。

かたやスウォッチは、時計はファッションであり装飾品でありブランドであると考えた。

結局、低価格の「実用品」の中国勢と高価格の「装飾品」のスイス勢の狭間で、中途半端な価格帯の日本勢は売れなくなってしまった。

シチズンは「部品屋」として生き残る道を選び、セイコーは「アルバ」というローエンドーブランドでスウォッチや中国製に対抗したが、あえなく失敗した。

そして日本の時計メーカーは、世界市場で全く存在感がなくなってしまったのである。

しかも、その後はスイスと日本の差が、さらに広かっている。

2002年と2011年の腕時計の輸出単価を比較すると、スイス製は2万9000円から5万8000円と2倍になっているが、日本製は2400円から1700円に3割下がり、なんと香港と同じになってしまった。

一方、2011年の輸出数量は1位が中国で6億8200万個、2位が香港で4億300万個、3位が日本で5800万個、4位がスイスで3000万個という順番になっている。

つまり、スイスはブランドに特化して輸出数量を減らし、ボリュームベースではなく価格ベースで世界のトップになったのである。

こうしてスイスの時計産業は復活し、一時期は日本企業の攻勢によって3分の1にまで減少していた時計業界の従業員数も底を打ち、右肩上がりに転じている。

(中略)

セイコーが凋落した最大の原因は、世界市場を理解して適切なブランド戦略を構築できる人材がいなかったことである。

かつて私は、タグ・ホイヤーのジヤック・ホイヤー名誉会長に「もし、セイコーの再生を頼まれたら、どうするか?」と質問したことがある。

するとホイヤー名誉会長は「私を雇えばよい」と答えた。

それはどういうことなのか、さらに尋ねると、ホイヤー氏は、こう説明した。

「セイコーは時計を作ろうとしている。だが、現在の時計業界は時計を作る競争ではなく、いかにブランドを維持して高い付加価値をお客さんに認めてもらうか、というブランド・マネージメントの競争だ」

「ブランドを維持するためには、1人のプロデューサーがいればよい。ところが、それをセイコーは組織でやろうとする。セイコーに時計を作る職人は大勢いるが、ブランド・マネージメントの職人はいない」

「だから、私のように高級ブランドのマーケティングを熟知しているプロデューサーを1人雇って全部任せればよいのだよ」

つまり、ブランド戦略を構築するためには1人の優れた人間がいればよいと言うのである。

時計であれ自動車であれファッションであれ、どのような業界でも究極的にはブランドを守るのは1人の天才プロデューサーであり、そういう人材が100人いればひとつの産業が成り立つ。

だが、1人の天才プロデューサーに全部任せることは、日本企業では難しい。

日本人の染色体の中に「みんなで力を合わせて頑張ろう」という工業国モデルの集団主義が深く入り込んでいるため、「個人」にそこまでの力があるということを認めにくいからである。

『クオリティ国家という戦略』 大前研一著(2013) 小学館刊 より

-------------引用終了

実際の数字をあげられていて(=エビデンスを示して)、私も時計業界が「そーなってる」とは知りませんでした。

ただ、思うのは、

セイコーは「工業国モデルの集団主義」を、グランド・セイコーというブランドを守っていくシステムとして、どうあればよいかを熟考したのではないかということ。

結論は、

「世代を超えて受け継がれるもの」への覚悟を決め、それへの対応をしていく(=一度、製品として世に送り出したら、ず~~~~~っと部品供給をする)

これって、アキュフェーズもそうしています(すべての製品ではないけど、創業以来の定番品は、未だにオリジナルパーツでの修理が可能)。

( Sony timer みたいなものを組み込むようなことはせず、「モノづくりニッポン」の矜持を感じさせる企業ですね、セイコーもアキュフェーズも)。

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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。朝方降っていた雨も今は止んでいます。

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今日のストームグラス(↓)。

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オ・マ・ケ

三日坊主めくりカレンダー(↓3月5日・6日・7日)。中川翔子なら、「言いそう~、これ。」

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