以前のセンター試験・地理Bの問題。

木材の伐採量・輸出量・輸入量に関して、世界全体に占める割合上位10カ国を世界地図上に示し、

「どれが、伐採量・輸出量・輸入量でしょうか? 正しい組み合わせを選んでね!」

という問題が出題されました。

解答に際してのポイントは、

熱帯林のある途上国では伐採量は多いものの、地元で薪炭材として煮炊き用に自給されてしまうため、輸出にまわらない。---このことを知っているかどうか、です。

つまり、途上国はまだ豊かではないので、エネルギー転換が各家庭レベルで進んでいない。

そのため、ガスや石油を購入するまでに至っておらず、木材を自家消費、そんな経済格差を読み取ることもできる問題でした。

さて、

そんなセンター試験問題とはぜんぜ~~ん関係ない、

『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』 木暮太一著(2012) 星海社新書 で、熱帯林に関して触れていた指摘のほうが私(わたし)的には、新鮮!---でした。

-------------以下引用(長いですぜ)

生存競争が激しい熱帯雨林に生息している樹木は、どの木も、隣の木よりも多くの光を得ようと上へ上へと伸びる。

ところが、それでは「影」に隠れてしまう木が出てくる。

その影に隠れた木々は、太陽の光を得ようと、他の木と同じ高さまで伸びようとする。

もしくは、いちばん高く伸びて、光を独り占めしようとする。

すべての木が同様のことを考えているため、熱帯雨林の木々は非常に背が高い。

ところが、ふとその熱帯雨林を俯瞰して全体を見渡してみると、光を得ているのは最上部の葉っぱだけだということに気がつく。

一生懸命背伸びして、高いところにたどりつこうとしているが、日が当たっているのはごく一部なのである。

そして、より大事なことは、すべての木の背が低くても「各樹木が得られる光の量は同じ」ということだ。

自分だけ太陽の光を得ようと競い合って伸びても、誰も何も考えず「当初」の高さでとどまっていても、「得られるもの」は同じだったのである。

熱帯雨林に生息している樹木は、なんと無駄なことをしているのだろうか。

この指摘は、資本主義経済に生きるわたしたちの姿をよく表していると言えるのではないでしょうか?

ほとんどの人は、より多くの光を得るために「他人よりも上」に行こうとします。

ところが、他人も同じことを考えており、みんなとりあえず上を目指して生きています。

その結果、熱帯雨林の木々と同じように、最終的に得られるものは「競い合う前となんら変わらない」という状況に陥っているのです。

なんとも皮肉な結果です。

では、競い合う前とまったく同じ状況なのかというと、そうではありません。

熱帯雨林の例でいえば、木々が太陽の光を求めて競い合った結果、「得られるもの(光の量)」は競い合う前と変わりません。

では、何か変わったのか?

そう、競い合う前に比べて、幹が異常に長くなってしまっているのです。

その大きく伸びた幹を維持するためには、より大きなエネルギーを必要とします。

熱帯雨林の木々と同じように、わたしたちもやみくもに「他人よりも上」を目指すと、得られる「光の量」は変わらない一方で、競い合うだけ体力や気力、そして時間を失います。

他人と競い合う過程でエネルギーを消耗し、ストレスを受け、疲弊していくのです。

結果的に「得られるもの」は同じだったからといって、失った体力・気力・時間が戻ってくるわけではありません。

この分は「無駄に」消耗してしまうのです。

それに、他人よりも上を目指している人は、非常に不安定になります。

少しでも上に手が届くように背伸びをしている人を想像してみてください。

背伸びをしているので、とても不安定です。横から少し押しただけで、よろよろとバランスを崩し、場合によっては倒れて怪我をしてしまうかもしれません。

背が低くても幹が太くしっかりしている木に比べて、細長い木は嵐に弱い。

ちょっとした台風でも簡単に折れてしまいます。

それと同じで、背伸びをして上に伸びようとしている人は、変化や混乱に弱くなります。

上に手を伸ばすことに一生懸命で、その他のことに気が回りません。

上しか見ていないので、足をすくわれやすくなったり、ちょっとしたダメージにも弱くなってしまっているのです。

-------------引用終了

熱帯林というと、だいたいこーゆーイメージ(↓上空から)。

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で、森の中を下から見上げると、こーゆー感じ?(↓ちょっと違うかも)。

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これらを模式図化したものが、こーゆー感じ(↓)。

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過度な競争では共倒れ。

やはり競争にも最適な範囲(規制すべき数値等)があるのだろうし、そもそも競争に向いていない分野(福祉・教育・医療)なんかは、資本主義の海へ放り投げちゃいけないものでしょう(いま、ニッポンはじゃんじゃん投げ込まれようとしています)。

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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。終日、いい天気の予報です。

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今日のストームグラス(↓)。

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