学者センセイは世事に疎い---といわれます(そーゆーことになっています)。

かといってオカネがないと研究費にも事欠くことになりますから、科研費獲得にがんばったりします。

かつてのバブル期を振り返って、上野千鶴子先生の次のような発言。

-------------以下引用

上野:回顧談だけど、80年代の終わり、バブリーな資金で研究費をいくらでも出してくれるところが二つあった。

一つが電力会社。

もう一つがサラ金業界。

湯山:それ、すごくリアル。具体的にはどういう研究になるんですか?

上野:サラ金業界は、当時の規制緩和でどんどん伸びてたんだけど、求められた調査は、初見の客を対象に、いくつかのチェックポイントで踏み倒す確率がわかるか、という研究。

それを、心理学者や精神科医、社会学者でやるわけ。

湯山:結果が見たい(笑)。じゃあ、電力会社は?

上野:「迷惑施設の研究」というテーマ。

迷惑施設というのは、原発関連施設の婉曲表現で、産業廃棄物処理場だったり、迷惑施設を作るときの地域コミュニティの反応、誰が反対派に回ってどういう動きをするか、という研究なのよ。

そうしたプロジェクトの話が回って来てたの。

しかも研究費はものすごく潤沢。

学者としては喉から手が出るほど欲しい。

だけど、関西電力の調査をやろうかと思ったときに、私の周囲の良き友人たちが、「あんたがそれをやったら、一生付き合ってやんない」と言ったの。

それで私はキャリアを汚さずにすんだ(笑)。

湯山:この手の話は、ホントに人を二分するなあ。

上野:カネには釣られない、ぐらいの衿持はあったよ(笑)。

『快楽上等!』 上野千鶴子・湯山玲子著(2012) 幻冬舎刊 より

-------------引用終了

サラ金業界の蓄積した「初見」客の値踏み方法を、銀行業界はまったく持っていませんでした(ですから、すんごい利率で儲けまくるサラ金業界のまねをして、消費者ローンを始めましたが、焦げ付きまくりの三錠、いや惨状)。

いま銀行は、そんなサラ金会社を傘下に収め、消費者ローンのCMでも「○○銀行グループ」と称することで、安心感を与え、銀行もサラ金業界のノウハウを獲得しています(結局自前で培ったものじゃないわけね)。

で、

そんなノウハウを誰が蓄積したのか。

「へぇ~、心理学者や精神科医、社会学者の皆さんだったのね。」

上野先生も心が動いた「迷惑施設の研究」に関しても、関西電力だけでなく電事連が動かしていた広報費・研究費は莫大な額になっていたと思われ、

「研究に必要な経費は、こちらがすべて持ちますから、思う存分研究なさってください。」

なんて言われたら、のっかっちゃう学者センセイはいるでしょうね。

そーいえば芸能界でも、ちょっと文化人よりのポジションを狙っているような人は、電事連の広報・広告に出てましたねぇ。あれ、フツーのギャラ相場よりも相当よかったらしいです(噂です、噂)。

のっかちゃた学者センセイからしてみれば、未知の研究だから、(パトロンの立場を勘案することなく、)心置きなく研究することができたんでしょう(御用学者みたいな、「結論ありき」で論を進めるようなことはなかったと思う)。

そーゆー未知の研究実践って、今の「黒田日銀バズーカ第○弾」も該当しますね。


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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。

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今日のストームグラス(↓)。

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