『下流老人』(朝日新書)の著者、藤田孝典さんが昨年、次のような新書を出しました(↓)。

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(↑)これは帯をはずしたもので(『貧困世代』 藤田孝典著(2016) 講談社現代新書)、

じつは帯には刺激的な文言が並んでいて、こんな感じ(↓)。

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NPO法人の現場から見えてくるニッポンの現状、それを裏打ちするデータの数々。

以前から私は「自殺」について関心がありました(自分がそーゆーことを「する」ということではなく、現象の背景とか・・・・)。たとえば、この日のBLOGとか。

(ニッポンでは年間の自殺者が3万人---こーゆー状態が2011年まで14年間続いていました。それ以降は3万人を切っています。40~60歳代の自殺率が高いということも指摘されていました。)

しかし、『貧困世代』での次のような指摘を見落としていたのです。

-------------引用開始

若者の自殺率も高い特徴がある。

事実として、主要先進国において、若者(15~34歳)の死因トップが自殺であるのは日本だけであり、若者の自殺死亡率は日本がダントツなのである(図表2‐1)。

世界で最も若者が生きにくい先進国だと言っても差し支えないと思う。

統計データは実に正直だ。

-------------引用終了

図表2‐1には若者の自殺死亡率の比較として、日本(20.0)、カナダ(12.2)、アメリカ(11.3)、フランス(10.1)、ドイツ(8.0)、イギリス(6.8)、イタリア(4.7)という棒グラフが描かれています。

(*)死亡率:人口10万人当たりの死亡者数。「自殺対策白書」より作成---とあり。

で、

「若者 自殺率 国際比較」と検索。

舞田敏彦さんの次のホームページがヒット。

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年齢幅の取り方は異なるもののニッポンの「若者」の死因に占める自殺比(%)が国際比較で飛び抜けているコトは、確実です。

さらにニッポンのデータを時系列(1990年→2008年)でも比較してあり(↓)、

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ニッポンでは18年間で死因に占める自殺比が3倍になっています。

この20年間はまるごと、そのままバブル後の「失われた20年」と一致。

ということは(ちょっと短絡的ですけど)、「若者」にとって、この20年間で変貌を遂げたニッポンの社会構造が、「生きにくい」モノになっているのでは?---と推察できるのです。

「失われた20年」の間に生まれ、成長し、「若者」となった皆さんは、あの狂乱のバブル期(の不相応な消費活動)を知らず、それを経験した先行世代(既得権益世代)のしわ寄せをモロに被っている---そーゆー世代なのかもしれません。

藤田さんは、次のようにも指摘します。

-------------引用開始

1960年代ごろからの高度経済成長期を考えていただきたい。

企業は必死の努力を今ほど若者たちに求めただろうか。

誰でもいいから企業に入ってもらい、その後に定着できるように研修体制を整えていったではないか。

若者たちを大切にして、福利厚生も整え、家族形成を助けたはずである。

いずれも今はない過去の話になってしまった。

労働者ひとりひとりの価値が大きく低下している社会をわたしたちは生きている。

-------------引用終了

1960年代ごろからの高度経済成長期に「若者」で就職した皆さんは、今は後期高齢者世代目前です(そう、団塊の皆様)。

お忘れになってしまったでしょうか? 自分たちの入社の頃を、新入社員時代を?

時代が違うからこそ、「今」の若者の生きづらさを斟酌して、「今」の社会構造に対応した手立てを打たねばなりますまい。

『貧困世代』の若者がそのまま加齢して、老人となっていくということは、現状が平行移動していくだけに留まらず、後続世代(生まれてくる世代)への影響も甚大ですからね。

藤田さんは、次のように提案しています。

-------------引用開始

若者たちに対して、日本型雇用という窮屈ではあるが「働きやすい環境」が十分に用意されていた時代は終焉を迎えた。

働き続けても報われる環境にない人々も増えている。

これからはますます、生まれた家庭環境など努力ではどうにもならない差異が人々の将来を左右する時代になるだろう。

ひどい職場から離れる選択や転職する選択も、家族や家庭の支えの有無によって決まるかもしれない。

大学で安心して学べるか否かも、周囲の資源や社会関係によって左右される。

人は生まれながらにして平等であるべきなのに、容認しがたい格差や不公正が拡大する傾向にある。

この歴然たる事実に対し、社会構造の変革を目指して働きかけるのか、若者それぞれの努力や精神論に収斂させてしまうのか--わたしたちが取るべき選択肢は明らかだろう。

(中略)

提言1:新しい労働組合への参加と労働組合活動の復権

提言2:スカラシップの導入と富裕層への課税

提言3:子どもの貧困対策とも連携を

提言4:家賃補助制度の導入と住宅政策の充実が貧困を止める

提言5:貧困世代は闘技的民主主義を参考に声を上げよう

-------------引用終了

詳細は、本書で(例の棚に置いてあります。『下流老人』と一緒に(↓))。

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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。昨日とは打って変わり、青空。

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今日のストームグラス(↓)。

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