『ユーミンの罪』以外にも数冊酒井順子氏のエッセイを読んでみました(読みやすいですね、難しいこと書いてないし)。
その中の一冊、『この年齢だった!』 酒井順子著(2012) 集英社刊。
著名人の転換点となった年齢に焦点を当てて書いた、軽いエッセイ。
長谷川町子さんに関して、次のように記されています。
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サザエさんといえば、家族全員で楽しむことができる、健全な家庭漫画。
画風を見ていても、清潔感と作者の育ちの良さが感じられます。
長谷川家は敬虔なクリスチャンかつ教育熱心な家庭だったので、町子はさぞかしあたたかくて健全な家庭生活の中で生活していたのだろう、と思われるものです。
しかし長谷川家の歴史を見ると、必ずしも幸せなことばかりがあるわけではないことに気付くのでした。
まず、町子達姉妹の父親は、前述の通りまだ若い娘達を残して早世。
長女・毬子は戦争中に結婚したものの、夫は戦死。
末っ子の洋子は戦後結婚して二女をもうけたものの、夫は三十五歳で病死。
……ということで、長谷川家には女性ばかりが残されるのです。
そして長谷川町子はといえば、生涯独身。
町子は、サザエさん一家のような家庭に身を置きながら、あの漫画を描いていたわけではないのです。
長谷川家はとても仲がよかったけれど、夫や父という立場にある人は欠けていた。
つまり、波平もマスオさんもカツオもいない家庭の中で、町子は『サザエさん』を描いていたわけです。
サザエさん一家が、どんな家庭よりも普通の家庭らしいのは、そのせいなのかもしれません。
明るく前向きな母のもとで成長していったけれど、お父さんが大好きだった町子は、自分が夢見た平凡な家庭を漫画の上で描いていった。
女形の役者が、時に本物の女性よりも女らしく見えるように、サザエさん一家もまた、完壁な家庭で育ったわけではない作者が描いたからこそ、日本のどの家よりも普通な家庭らしさを持っているのです。
-----------------引用終了
NHK連続テレビ小説「マー姉ちゃん」のモデルとして描かれていた長谷川家(マー姉ちゃんは町子の姉の毬子で、熊谷真実、町子は田中裕子が演じていました)。
ドラマでも長谷川家の様子が描かれていたけれど(と、書いてはみたもののず~っとみていたわけではなく、知識として知っている程度)それを上記のような「文」にしてみると、長谷川家も戦争に翻弄されていた部分が垣間見られます。
一度、こーゆー情報をアタマの中に入れてしまうと、次から『サザエさん』をみるときに、どうしてもそーゆーフィルターを通してしまう---、ヒトのアタマはそーゆーふーにできているみたいです。
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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。快晴無風。一昨日の飯田の予想最低気温は-10℃、昨日は-8℃だったので、覚悟していたのです、そーとー寒いだろうって。でも-6.2℃でした(軽井沢は-10.6℃)。
今朝のウォーキング時、東の空(6:10撮影、ぶれてます)。