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タグ:下條村

先日、人口戦略会議が報告書を発表しました。
10年前の衝撃の実名指摘(自治体を名指し)から、「その後」の10年間に行われた(+動向を踏まえた)取り組みへの通知表的な意味合いもありそうです。
地元県紙でも、

「消滅可能性のある自治体」長野県内は26市町村 全国では4割 民間組織の報告書

と、報じています(こちら)。
具体的にこーゆーふーな自治体名が「消滅可能性のある」ところとして載っています(↓)。
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これらの市町村は「子どもを産む中心世代となる20~30代の女性が50%以上減るとの推計を根拠」にして「消滅可能性のある自治体」に名指しされました。
別のソースから、長野県下77市町村のデータを見てみることにしましょう(↓)。
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あたしゃ、まだ、分析には至っていませんが、とりあえず10年前のこれ(↓)と比べてみると・・・、「ありゃ!?まあ!?びっくりだよぉ~!」
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そー言えば、9年前のブログでもこれ(↑)に関して触れています(こちら)。
この新書では、巻末に「全国市区町村別の将来推計人口」一覧が掲載され、各都道府県毎の自治体名が【若年女性人口変化率】順にランキング形式で掲載されてます。
10年前の長野県の1位って、どこだと思いますか?(人口変化率の少ないところはどこでしょう?)
答えは、

下條村 -8.6%

当時のことを思い浮かべると、下條村は「(出生率が2を超える)奇跡の村」として全国区になっていた、そーゆー時期だったような気がします(未確認)。
下條村の取り組みは、その後、周辺自治体や日本各地で実践されていく(=真似されていく)ようになります。
すると、どうでしょう?
上記の表で下條村を見てみると、

下條村 -46.3%

と、なってしまっているのです。
きっと【結婚したり、(子育て世代の)若年女性】にとって下條村に住む優位性がなくなってしまったのでしょう。
どこの自治体に住んでも同じような「子育て支援」制度があるようになれば、「地の利」のいいところが選好されるようになりますから。
でも、よく考えてみると、これって自治体同士のサービス合戦によるパイの奪い合いに過ぎません(9年前のブログでも指摘していたことです)。
たぶん、行政の当事者はわかっているのでしょうけど、【生活圏域】レベルで考えないといけないでしょう。
特に「平成の大合併」で合併しなかった小さな自治体レベルで、「消滅可能性のある自治体」云々を言ったところで、問題は解決しません。
幸い、長野県では「地域振興局」の範囲(↓)がちょうど【生活圏域】レベルと(ほぼ)一致していますから、早急にアレコレやったら、どうなんでしょう(長嶋ふう)。
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『地方消滅』増田寛也編著(2014)中公新書---が与えた衝撃は今でも覚えています。
「地方消滅」の鍵を握るのは、出産可能な女性の動向、でした。
それから7年。
『新型格差社会』 山田昌弘著(2021) 朝日新書---の中の一フレーズが、今日のタイトルです。
この一文は、次のように続きます。
-----------引用開始
「たまに帰るのはいいけれど、定住するのは絶対にイヤ」
こんな声がチラホラと聞こえてくるのです。
一言でいえば、旧弊な家父長制的価値観が、家庭にも企業にも地域社会にも根深く残っており、それが嫌でたまらず、なかば逃げるようにして都会に出てきたというのです。
女ならば、男に従って当たり前。
嫁は夫や舅、姑にかしずくもの。
女が働くなんてとんでもない。
早く結婚して孫の顔を見せてくれ。
そんな生き方は世間体が悪い。
会社でも女性のお茶くみは当たり前。
地域の会合では、女性は延々と台所に立ち続け、飲み食いするのは男性ばかり---。
令和時代の現在も続いているその因習を、自分も生まれ故郷に帰ったら踏襲しなくてはならない。
そんなのは絶対に嫌だから、何が何でも都心で就職して、都心で暮らせる人と結婚するんだ。
そういう決意を何度も耳にしました。
それを裏付けるかのように、男女共同参画会議でも同様の議論が出ました。
若者の中でも若年女性が地方から都市部に流出して、帰ってこないという問題です。
地方では、男女比が崩れ、その結果、人口減少が加速しているのです。
『新型格差社会』 山田昌弘著(2021) 朝日新書 より
-----------引用終了
この指摘も、「地方消滅」の原因のひとつでしょう。
指摘されても、それがなんで問題なのかわからないところには、同じ意識の人々しか居なくなる。
それによって人口減少を招いていても、「昔からそうだったから」ということで、改めようとしない。
そりゃぁこの先、縮小再生産で「地方消滅」も現実味を帯びてきますね。
また、山田先生は別のところで、地方から流出する人口動向を、次のようにも指摘しています。
----------引用開始
近年進んだのは、「転出し、そして地元に戻つてこない傾向」です。
なぜ戻ってこないのか。
「戻りたくない」のか、あるいは「戻れない」のか。
おそらく答えはその両方です。
理由は単純で、生れ故郷の土地に、ライフステージに応じた「場」がないからです。
生活の糧を得るための仕事の「場」、自分の子どもを通わせたい教育の「場」、地域のコミニュティを感じられる「場」、日用品を不便なく購人できる「場」、いざというときかかれる医療の「場」…。
どれか一つだけ充足していても不十分です。
大切なのは、全世代に応じた「場」なのです。
特に、「人口増加」を望むのであれば、単身者だけでなく、子を持つ夫婦世帯「誘致」が欠かせません。
その地で子を育てあげ、コミュニティを背負い、余生を過ごすのに安心な「場」があるか。
その土地に一時的でなく、恒常的に住み続けるには、これらがクリアされている必要があります。
前掲書より
-----------引用終了
人口数という「数」の結果に至るまでには、その一人ひとり(一家族ずつ)がどのライフステージを、どこで展開しようと思うのか、どーゆーふーにしていこうと思うのか?---その「場」が必要なのですね。
かつて、合計特殊出生率が2.0を越え「奇跡の村」として全国的に名を馳せた、長野県下伊那郡下條村。
現在はどーゆーふーになっているのか?
飯田市周辺の自治体が下條村に倣った施策を始めたモンだから、もう、「奇跡の村」の面影はありません。
山田先生の指摘する「場」の数が足りなかったのでしょうか?
全世代に応じた「場」
これを弱小自治体ひとつですべて用意するのは不可能でしょう。
地方はクルマ社会ですから、それに応じた圏域で補完し合うようにでもしないと、自治体は無駄な競争を始めてしまいますぜ。
「転出し、そして地元に戻つてこない人」や「たまに帰るのはいいけれど、定住するのは絶対にイヤ」と思っている人と、地元に留まっている人との意識の違いには、もう、(分断線とまではいいませんが)一線が引かれている、そんな印象を受けるのです(あくまで私の印象です)。

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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。
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今日のストームグラス(↓)。
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企画したのは南信州地域振興局と南信州広域連合。こんなパンフレットを入手しました(↓)。
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赤○箇所を拡大しましょう(↓)。
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順調にいったとしても、まだ7年後なのに、その開通予定の「リニア中央新幹線」予定ルートが記されています。気が早いというか、それしかないというか・・・・( ^.^)( -.-)( _ _)。
見開きになっている中を見てみると(↓)、
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1市・3町・10村の紹介があって、【写真+アピール文】が人口の多寡に関係なく、同じ「面積(スペース)」で載っています。人口比で言えば【飯田市:平谷村=243:1】くらの人口差がありますが、そこは、対等ということで宜しいのではないでしょうか。
一通り読んでみましたが、なんといっても訴求力があったのは、売木村!(赤○箇所)。
はい、アップ(↓)。
DSCN1035
この企画、「移住体験ツアー」ですから、そーゆーことに関心がある方々が参加するわけで、赤のアンダーラン箇所は、目を惹くこと、確実です。
かれこれ4年ほど前に、こーゆーブログを書きました。このときには村の人口の約1/3が移住者です!---ということだったんですが、その比率がさらに上昇し、いまは【4割】まできましたか!(゚ω゚)
何世代前から住んでいればネイティブになるのかは知りませんけど、上記の「移住者」が指しているのは、今、ココで生活しているこの人は、売木村に移り住んできた人である---そーゆー方々を指しているんですよね。
これを飯田市で考えれば、スゴイことだとわかります。約10万人のうち4万人が移住者!---という数になるわけですから。
で、
人口520人の売木村について、4年前の私の危惧(↓)。
ただ、こーゆー小さい自治体に、ある目的を持って、例えばコミューンをつくるためにとか、「そっち系」の皆さんが大挙してやってきて、合法的に手順を踏んで、村議会議員や村長を選出していったとしたら・・・・・・。
こーゆーことにはなっていないようなので、まずはひと安心。
でもって、
若し、私が「教祖様」だったら10年~20年計画で徐々に信徒の移住をすすめます。
但し、オウム真理教が上九一色村につくったサティアンのような隔離された施設ではなく、信徒の方々はちゃんと日常生活を村内でおくる(仕事もちゃんとやる)。
信徒の数を村内で増やして、村議会で過半数を取る(定数7なので4つとればOK)。
その次は村長選に信徒の誰かを立てて、信徒の組織票で当選させる。
はい、これで合法的に「宗教立村」成立---んな、ふーにいくわけないか。
そーそー、
下伊那郡の町村の人口動態を見て(↓)、
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ひとつ、気になるところがありました(赤線箇所)。
軒並み【△(減)】である中、泰阜村の社会増減数が、+21人(豊丘村も+18人だけど、元々の人口数が6400人もあるので、泰阜村の数は特筆モノ)。
対人口比の「率」でいうと1.3%となり、それを飯田市の人口に当てはめると約+1400人になります。この数字がどれだけ達成困難な数であるのか、行政で「移住促進室」関係の方々はご存じのハズ。
何があったんだ、泰阜村!
(以前、伊那市内の人口移動について、特異な動きがあって、調べてみるとその正体(原因)は、老人ホームが高遠地区に作られたから---そんなこともありました。)
泰阜村のホームページを見ても、住民統計情報は「只今準備中」だし・・・('A`)。時系列でのデータが収集できません。
何があったんだ、泰阜村。
全国移住ナビで、次のような文言を発見(↓赤色箇所BLOG主注)。
日本でいち早く高齢化社会を迎え、村をあげて在宅福祉の充実に取り組み、高齢化問題をほぼ脱した村です。信号もコンビニもありませんが譲り合い、行き交う車の中からでもあいさつをかわす人にやさしい村です。村役場の担当課一丸となって、UターンやIターンを希望する皆様に対応させて頂きます。
確かに、村のホームページを見ると、ここでの表現も「在宅福祉」に特徴があるようです。
一方、
下條村。かつて「奇跡の村」と言われた頃の面影は人口動態からは、もう読み取れません。あの「奇跡」は既に過去のものになったのでしょうか? もう、次のフェーズに入ったようです。

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今日の南アルプス(↓11:00撮影)。
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今日のストームグラス(↓)。
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オ・マ・ケ(↓三日坊主めくりカレンダー)。こーゆーのが私は好きです。
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